KILLER-BONGと元・カンのヴォーカリスト、ダモ鈴木による即興音楽史に残るライヴ・セッションの凄まじい記録である!
KILLER-BONGとダモ鈴木のライヴ・セッションのCD化と聴けば、少なくない人びとが驚くだろう。
2010年11月5日に国立地球屋で行なわれた2人のライヴが録音されていたことをまず喜びたい。ダモ鈴木は70年代初頭、クラウトロックの伝説的バンド、カンのヴォーカリストとして活躍し、その後も世界を放浪しながら、いくつものセッションをくり広げて来ている。
彼はミュージシャンをサウンド・キャリアーと呼び、自身のヴォーカル・スタイルをインスタント・コンポージングと名付けている。どこまでも音楽の即興性と自然発生性に賭けてきたアーティストである。ゆえにKILLER-BONGとの出会いは必然と言えるが、しかし、これはこの国の即興音楽史に必ずや刻まれる出会いでもある。
野生児の対決とでも形容できる32分あまりのライヴで展開されるのは、呪術的かつプリミティヴな音の対話だ。
KILLER-BONGはカオス・パッド、サンプラー、声を最高の玩具として操り、ダモ鈴木は太古の言葉で人間の記憶を呼び覚ますかのように咆哮する。広大な捉えどころのないノイズの海ではない。ここには、アフロ、ジャズ、アンビエント、ヒップホップ、電子音楽の鮮やかな息吹が呼び込まれている。その時、その場所で2人が音で一戦交えたという事実に震えるような興奮を覚えざるを得ない。(二木信)
■アーティストプロフィール
Damo Suzuki
ダモ鈴木は世界各地で地元のサウンド・キャリアー(かれはミュージシャンをこう呼ぶ)と其の時、其の場の音を作っている。其れは毎回毎回サウンド・キャリアーが異なるだけでなく、必然的に音源も異なってくる、新しい挑戦だ。
ダモ鈴木は音楽に境界を引かない。ダモ鈴木は何処にも属さない。それは又各種の暴力によって支配されているこの体制に対する静かな挑戦でもある。この体制に縛られない自由を追求して、あちらこちらでエネルギーをシェアして行く。2003年から始めたNEVER ENDING TOURは今までに現在約4,000人の地元のサウンド・キャリアーとオルガニック、超自然的な音源そのメタフィジカルなエネルギーを約40カ国でシェアして来た。NEVER ENDING TOURはその名の通り終わりを知らない。
彼がやがて彼の日を終わる時が来ても其の後にもそれは続く。