“表現にジャンルなどはいらない。これが音楽であるかどうかすらもあまり重要なことではない。そもそもカテゴライズという風習自体、間が抜けている”
『純粋な感情表現』を旨に活動する魂の描き手達がアトリエでの試行錯誤を一心不乱に積み上げて形を成す真剣な遊び場『現在進行系』は振り返れば三年の月日が経過。浪費とは違う継続の時の形を提言し、もはや箱までも観測出来ぬ程、不確定に徘徊を進め、その勢力は路上にまで侵食の舵をとり血飛沫をあげながら公認を声高らかに叫ぶ犬供の脊髄に点々とシミを残し潜行してきた。
地球誕生の歴史でいえば白亜期に突入した彼らの中から、前代未聞、形容不可な社会性の低い雑食性のヒト科の生物、もの＆DJ SCANが、ついに最初の一石となるEPをリリース。妥協も躊躇もないから精神論にすらすがらない。多面体から球体へ。その裏に隠された緻密な虐殺計算。構築された心拍数、血液の流動音は、特定の音楽好きやマニアを自負する輩も閉口させる。見たことがないものを警戒する生物の本能が故か。異なった形態を廃除する大多数優位のシステムが故か。どちらにせよ似たようなものは知っていても未知数であるそれを知らないなら黙るしかない。現世の概念を放棄し、死ぬか殺されるかの二択で後者を選び一思いなそれを貴方が求めるならば本作の再生をお勧めする。
スタンダードなHIPHOPはマーケットで死んだ。そしてその混沌から次に顔を出すのは一体どういった存在なのか。知りたいと思ったなら覗くしかないだろう。結果、自身にどんな事象が起ころうとも。
徹底した頭脳からリアリズムの未視観へ歩を進める姿こそ、蜂起した人民の声こそがHIPHOPと呼ばれた文化の礎なのだ。本作はそれを体言したに過ぎない。魂の断末魔を目指し、叫び、もがく著者の精神性は全開だ。A.K.A キレテル乞食。捨て身でやってくる。配給は受け取らない。雄雄しく流した一滴の紅い血…初潮。
発売も購買も何もかもハナから無い。出てしまったから隠さずに出しただけだ。拝聴、検分ご苦労様。暖かくして寝ろ。風邪をひかないように。
